1、ロス動作を改善しエネルギーロスを減らす
能動的に疲れを生み出す要素を作らない
一日中動き回ってお仕事をされたり、持久力が要求される競技スポーツで長時間走り続けたり、動き続ける事が出来るお身体を手に入れる為に先ず初めに取り組んで頂きたい事は、ロスの有る動作を改善してエネルギーロスを減らす事です。
その方の日常生活動作やスポーツ競技動作の傾向は、歩行動作に集約されると言われています。
歩行動作の基本は身体を前方へ運ぶ(移動させる)事です。ロスに成る動作は様々有るのですが以下分かり易い代表例を挙げさせて頂きます。
①脚を大きく振り出し過ぎて前方へ進む身体に必要以上にブレーキを掛けてしまう
②アキレス腱を強く伸ばす様な動作で身体を運ぶ為の軸脚が後方へ流されてしまう
③ふくらはぎ、膝(前腿)等を必要以上に強く使い身体の上下動が大きく成ってしまう
④進行方向に対して身体の重心が左右にぶれてしまう(骨盤が側方へぶれる)
4Dモーショントレーニングマシーンを使用したトレーニングの動作は歩行動作の形態や筋活動に非常に近く、トレーニング動作自体を日常生活動作やスポーツ競技動作に直結させてトレーニングする事が可能なシステムに成っています。
動作前の姿勢やフォーム、身体のポジショニング等がその後の動作の殆どを決定していますので、動作前の姿勢やフォーム、身体のポジショニング等に注意して頂きながらトレーニング動作を洗練して頂く過程でロス動作の改善をして頂いています。
*ロスの有る動作を改善すると言う考え方は、競技動作のスピードアップや動作から生み出されるパワーの強化方法、更に故障の予防や改善等にも共通する重要な考え方です。
2、肺活量を改善し乳酸の産生を抑える動作を習得する
瞬発系動作(解糖系運動)の持続力を改善する
高強度の短時間の運動(短時間の全力疾走等)は糖質がエネルギー源として使われる無酸素運動で運動後には疲労物質の乳酸が産生すると一般的には言われています。
静脈血管による乳酸の除去が追い着かず、乳酸が筋肉内に一定量以上蓄積すると筋肉の収縮不全が起こるとも言われています。
糖質がATP(アデノシン三リン酸)に分解されエネルギーとして燃焼し、ピルビン酸(ATPが燃焼し乳酸に変化する前の燃えかすの様な物質)と言われる物質が生成されるタイミングで筋細胞内に必要十分な酸素が有った場合、実は乳酸は産生されません。
筋細胞内に必要十分な酸素が有る場合はピルビン酸は筋細胞内のミトコンドリア内に入りエネルギー源として再利用される事に成ります。
筋細胞内に必要十分な酸素がない場合はピルビン酸は筋細胞内から出て静脈に入る為に乳酸に変化します。その後静脈で肝臓へ運ばれ、エネルギー源として再合成される事に成ります。
筋細胞内に乳酸を産生させない為の必要十分な量の酸素を供給する為には心臓の血液供給力強化だけでは血圧が非常に高く成ってしまい身体の負担も大きく成る為危険です。(走り込み等量のトレーニングを否定している訳では有りません/前提として量のトレーニングは勿論必要です)
酸素の供給量を増大させる為には一呼吸毎の肺活量を増やす(改善する)取り組みが必要に成りますが、一般的に行われている呼吸動作では肺活量は不足気味で酸素の供給は追い着かない傾向に有ります。
4Dモーショントレーニングマシーンを使用したトレーニングではマシーンに誘導される形で動作の初め(マシーンから負荷を受け主動筋が伸ばされ動作が始るタイミング)で肋骨が上に持ち上がり、また、胸郭が拡がります(上半身、下半身双方のトレーニングに共通)。
胸郭は持ち上がるのですが肩は上に上がりませんし横隔膜は下に下がり拡がる形に成りますので一般的に言われている胸式呼吸や腹式呼吸とも違う呼吸形態です。
動作の始まるタイミングに合わせて胸郭内の容積を最大限に拡げ呼吸する事により、動作後の血液中の酸素濃度の低下を抑える事が可能と成ります。
動作に合わせて無意識に胸郭が挙上、拡がる呼吸動作は、トレーニングマシーンで人為的に作り出す動作では有りません。
四足歩行の動物などにも多く見られる自然な呼吸動作です(チーターやネコ科の動物等の疾走している動画等を見て頂くと分かり易いかと思います)。
この様な呼吸動作は人類が直立二足歩行に進化した結果、肩甲骨や胸腰椎移行部(背骨)の動き等と共に引き出す事が難しく成ってしまった機能の一つと言えるかも知れません。
3、肺活量が増える事による恩恵
有酸素系運動能力の向上
肺活量が増え血液中の酸素濃度が増加する事は脂質を酸素で分解してエネルギーを得る持久系の運動能力の向上にも大きなプラスとして働く事はご説明するまでもございません。
*脂質を酸素で分解してエネルギーを得る運動では基本的に乳酸は産生されません
4、静脈血管の乳酸除去能力を高める
瞬発系動作(解糖系運動)の動作後の回復時間を短縮する
胸郭周辺の柔軟性を向上させ、動作に合わせた呼吸をトレーニングで習得して頂く訳ですが、競技スポーツでは自身の競技動作自体が競技する相手の影響を物理的、心理的に大きく受けますので自身のタイミングで理想的な動作(呼吸動作)が出来るとは限りません。
乳酸の産生を完璧に抑える事は不可能だと思われますので、乳酸の除去能力も高ておく必要性が生じます。
筋肉内に産生した乳酸の蓄積を現場で直接除去する働きは静脈血管が担っていますが、静脈血管自体の血圧は非常に低く、血管自体での血液を送り出す能力は余り高くは有りません。
静脈血管の血液を送り出す力を助ける機能の一つ(他にも大きく働く大切な身体の機能が有りますがお話が複雑に成りますので次の機会にご説明致します)として、全身の筋肉の伸縮が静脈血管にポンプ作用の様に働く事で血液を送り出す力を補助している機能があります(専門用語でミルキングアクションと言われています/下半身のふくらはぎの作用が一般的には広く知られています)。
(ミルキングアクション原理=筋肉が伸ばされた(伸張した)時に血管が潰れて血管内部の血液が絞り出され、筋肉が弛緩して元の長さに戻った時に血管が膨らみ血液が吸い込まれる=手動の石油ポンプの様なイメージ)
4Dモーショントレーニングマシーンを使用したトレーニングでは全身の筋肉をタイムリーに弛緩、伸張、短縮とサイクリングさせていますので、ミルキングアクション=筋肉のポンプの様な作用を促進します。
筋肉の強い収縮動作が強調される様なトレーニングや、逆に強いストレッチ動作が強調される様なトレーニングではミルキングアクションは低下してしまう傾向に有ります。
ミルキングアクションには動作の仕方も大きく関係し、影響を及ぼしています。
前述致しましたエネルギーロスの有る動作等もミルキングアクションの働きを低下させる要因に成ってしまいます。
軸脚が後方へ流される様な動作では、ふくらはぎが強く伸ばされる動作が強調されて血液を絞り出す事ばかりが強調されます。
上下動が大きい動作では、ふくらはぎを収縮させる動作が強調されて血液を絞り出すタイミングが少ない為血管が充血してしまいます。
ミルキングアクションの機能を高めて乳酸の除去能力を向上させる為にはロスのない動作(フォーム等)を習得して頂く取り組み(トレーニング)も非常に大切に成ります。
5、競技スポーツでのゲームプラン選択権の自由度
呼吸動作の改善により瞬発系の運動での乳酸の産生を低く抑えることが可能に成り、また、ミルキングアクションの促進で乳酸が産生した場合の乳酸の除去能力も高く成り、更に肺活量が改善された事により有酸素系の運動能力も上がった事は、競技スポーツでは計り知れないアドバンテージと成る事でしょう。
高いレベルで競技され、技術的レベルが拮抗している様な試合では勝敗を分ける大きなポイントは何でしょうか?
ゲームプラン(戦術、策略)は勝敗を分ける重要なポイントに成るのではないでしょうか?
競技スポーツでゲームプランの選択肢を増やす為には相手に勝る持久力が必要に成ります。
試合時間の何時頃に仕掛ける(ラッシュやスパート等を行う)のか?どれ位の運動強度で何回仕掛けるのか?仕掛けと仕掛けの間に要する時間(相手の体力の回復を待たずに自分や自分達が仕掛けから体力を回復する為に必要な時間は?)は等々?
もし仮に、今回ご説明させて頂きました持久力に関する様々な要素全てで相手を上回る事が出来た成らば、ゲームプランを練り選択する中での選択権がこちら側の手中に全て有る事に成ります。これは非常に大きい事です。
今回お伝えして来ましたトレーニングによる持久力改善の取り組み方法は、アスリートの方は勿論、スポーツに取り組んでいない小学生の方からご高齢の方、更に心臓にご不安をお抱えの方々迄お身体に負担を掛けずに何方でも取り組んで頂ける内容です。
多くの方々の持久力向上の為にお役に立つ事が出来ましたら幸いです。
*トレーニング中は呼吸に強い意識を持ち過ぎない事が大切なポイントに成ります。もし呼吸を意識して頂くので有れば、息の通りを感じて頂き息の通りや動作を妨げない様に呼吸して見て下さい。目的とする正しい動作に自然と正しい呼吸が付いてくるイメージです。